2005-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ある果てしない跳躍

私には名前がある。当たり前だ。誰にでもついている。親(あるいはでしゃばりな祖父)によってつけられたこの名前は、私には変えることができない。いや、見た目上は変えることができる。役所に申請して認められれば、変えられるのだろう。詳しい手続きは知…

それでも生きなければならない

to be or to be

耐えられない存在のバルサミコ酢

「何、本気になってんだよ」と無我夢中の人間を一歩引いた場所から見下ろしているこの優越感に、言っている自分が夢中になっているというこの矛盾。

全ては幻想である

って言った所で、何もないことに変わりはなく。そんなこと、君たちはとうの昔に知っているんだよね?あのふわふわのクッションや、洗い立てのタオル、泡だらけのビールなんか、すぐに萎れてしまうものだって知っているんだよね?折り目のない1万円札、ぴかぴ…

不敗の公式

(上底+下底)×高さ÷2 (上底+下底)×高さ÷2 あほか

彼の最終日

父が死んだという知らせを聞いたとき、彼は23歳だった。 電話を受け取ったとき、彼は下宿で一人絵を描いていた。画家になろうとしていた。母親の泣き声で震える受話器を持ちながら、その報せがどういう意味のものかを、彼は瞬時に悟った。絵筆を放り投げ、郷…

SOTT

一言で真実を表す言葉を吐ければ、私はその後一切口を開かないだろう。 まぶたを黒い糸で縫いつけ、唇はホチキスで止め、耳には硫酸を流し込み、すべてから隔絶するだろう。 そして、私はそのまま彫像として固形化するか、あるいは液体としてインド洋に流れ…

空色のワンピースの女

「ああ、あなた!人が、人が死んでいるわ!」 「ほっとけ。起きてるか寝てるかの違いだけだ。」

切り崩された崖に咲く白百合

「私は、時間が、怖くなったのです。」 そう書き残して、彼はいなくなった。 彼は始終何かやっていないと落ち着かないたちだった。 気のきく男だと評判だったが、あまりにも気忙しすぎるので、うっとうしく感じることも度々あった。 彼は週に7日働いた。一週…

私は惰性で生きられるほど強くないのです。

黒鳥のざわめく森の中で

常識、溺れた愚者の灯明、塹壕の中の兵士の見る空

灰をかぶった娘の揺れる小指

私がまだ2度目の誕生を経る前、世界はよほど私の近くにあった。 友人は誰もが優しく、家族は皆暖かかった。 花々は瑞々しく、空はつかめるほどに近かった。 しかし、一度死んでからは何もかもが変わってしまった。 物は全ての色合いを失い、灰色の絵の具が空…

Pola

私たちは敵のいない戦争に駆り出されている。 共産主義は死んだ、ヒューマニズムは息絶えた、飢えははるか遠くのアフリカにだけある。 残っているのは私たちを乗せて永遠に回り続ける円盤しかない。 薄汚れた工場、巨大な官公庁、灰にまみれたトラック、塵一…

開始