2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

そういうものだろう。俺は。

どうにも肩が痛い。回すたびに音がする。 あまりにも痛いので裸になって鏡で確認してみると、カリイー・ミノーグが噛み付いていた。 だが、俺はカイリー・ミノーグを知らない。 これが凶暴なカイリー・ミノーグなのか、それとも通常のカイリー・ミノーグなの…

夢の釣り糸

黒い猫が出て行って 一人になった スミスを聞きながら 釣りをしたいと思った 折れたほうきの柄に 破れた包帯巻きつけて どぶ川に垂れた太い釣り糸 釣り針もえさもない 赤いチュチュ 浮浪者の左手 かえるの陶器人形 何も釣れない 何もひっかからない 笑う狸の…

手を噛み千切られた漁師は片膝をついて笑う

追う影、追われる影、逃げる影、欠けた影。大抵は自分の影の大きさがわからない。形がわからない。色がわからない。だが、それは幸せなことだ。影が伸縮し、捉えきれないうちは、生きることができる。 真っ黒に燃える太陽に焼かれ、アスファルトに影がこびり…

美しい水死体をひきずりながら歩く重い足取り

ゆっくりと、慎重に進まなければならない。ジャックナイフを研ぐように、腹式呼吸の練習のように。 踏み外してはいけない。私たちが歩いているのは、ピアノ線よりも細い柔らかい影。面積体積のない、どこまでも続く色のない断崖。 恐怖に駆られ、走り出すな…

いつも目を覚ますのは鈍い痛みで

読むことは書くことであり、行動すること。 言葉になった瞬間に、それは存在する。 そして、一瞬で消え去る。

ファッファッと叫ぶ気の狂った女生徒の胎内の中で

文章を書くことが創造だって?馬鹿な事を言うな、この癲癇持ちめ。書くことはそんなものじゃない。書くことは殺しだ。頭の中に、体内に、肺の中に渦巻いている得体の知れない情念を、このわずかな語彙に押し込めることで、それを殺してしまっているんだ。一…

うらぶれた酒場の裏庭から突き出た、薄汚れたマネキンの両足

失ってしまった 狂人の絶望した叫びを、瞬間が音を立てて崩れていく音を、飢えた獣のうめき声を、鋭くとがった悪意のささめきを、聞くことのできた耳を、失ってしまった。 自分でさえ理解できない古代の記号を発し、清らかな言葉を腐臭のする悪罵に変え、四…